34章

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「シックスとかいったな。頼みがある。少しでいい。あの機械人形を止めていてくれ」 キャスが静かに言うと、シックスはただ黙って(うなづ)いた。 そして、機械人形(オートマタ)となったノピアへと向かって行く。 それを見たアンが叫ぶ。 「シックス!! ひとりじゃ無理だ!!!」 「いいから黙っていろ。あまり()れてはいないが、いまこの足を治してやる」 優しく(おだ)やかに言ったキャスは、両手を開いてアンの足にかざした。 キャスの全身から水が(あふ)れ、それが手に伝わり、アンの足を包んだ。 足からは次第に痛みが引いていく。 「日々の鍛錬(たんれん)はバカにできないな。サボっていたせいで、思ったより時間がかかりそうだ」 苦笑いしながら言うキャス。 彼女が普段見せないだろう表情を見たアンが叫ぶ。 「キャス!! それよりシックスが危ない!!! 足を掴まれたときにわかったんだ。いまのノピアは他のオートマタよりも強い。私のことは放っておいてシックスの加勢に……」 「お前は表情が(とぼ)しいくせに、すぐに熱くなるんだな。まあいいが、少しは静かにしていろ。こっちは慣れないことをやっていて、いっぱいいっぱいなんだ」 そう言われたアンは、もう何も返すことができなかった。
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