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「シックスとかいったな。頼みがある。少しでいい。あの機械人形を止めていてくれ」
キャスが静かに言うと、シックスはただ黙って頷いた。
そして、機械人形となったノピアへと向かって行く。
それを見たアンが叫ぶ。
「シックス!! ひとりじゃ無理だ!!!」
「いいから黙っていろ。あまり慣れてはいないが、いまこの足を治してやる」
優しく穏やかに言ったキャスは、両手を開いてアンの足にかざした。
キャスの全身から水が溢れ、それが手に伝わり、アンの足を包んだ。
足からは次第に痛みが引いていく。
「日々の鍛錬はバカにできないな。サボっていたせいで、思ったより時間がかかりそうだ」
苦笑いしながら言うキャス。
彼女が普段見せないだろう表情を見たアンが叫ぶ。
「キャス!! それよりシックスが危ない!!! 足を掴まれたときにわかったんだ。いまのノピアは他のオートマタよりも強い。私のことは放っておいてシックスの加勢に……」
「お前は表情が乏しいくせに、すぐに熱くなるんだな。まあいいが、少しは静かにしていろ。こっちは慣れないことをやっていて、いっぱいいっぱいなんだ」
そう言われたアンは、もう何も返すことができなかった。
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