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そんなアンに、軍隊にいた者たちは誰も近寄らなかった。
アンは、いつも無愛想で、心無いことをつい言ってしまうところがあったからだ。
それもあって、これから会う者たちはアンにとって数少ない友人である。
街をしばらく歩き、アンが足を止めた。
そして一軒の家の前に立ち、ドアをノックしながら声をだす。
「ストラ、レスいるか? 私だ、アンだ。開けてくれ」
その声を聞いて、ドアがゆっくりと開かれた。
「おはよう、ストラ」
家の中から出てきた人物を見て、無愛想なアンの顔が微妙に笑顔になる。
それは、わかる人間にしかわからないアンの喜びの表情だった。
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