4章

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頭を撫でられ、アンは慣れていないせいか、嬉しいのに微妙(びみょう)な笑顔になってしまっている。 そんな二人を見て、ストラ、レス、リードの三人は、ほっとした表情で肩を落とした。 「諸君(しょくん)静粛(せいしゅく)に」 大広間の檀上(だんじょう)から、抜けのいい大きな声が聞こえた。 怒鳴っているわけでもないのに、大広間にいるすべての人間に聞こえるくらいのボリュームだった。 その声を聞いたすべてのストリング兵が、言葉を止め、檀上の方に体を向けて姿勢(しせい)を正す。 そして、その声は、大広間にあるスピーカーから聞こえ始める。 「突然集まってもらってすまない。だが、俺は一声かけただけですぐに集まってくれた諸君らのことを嬉しく思う」 檀上からマイクを使って、髪を逆立てた大男が立っていた。 ストリング帝国の三将軍の1人――ローバル・バッカス将軍である。 バッカスは、軍服の下に着ている灰色のシャツの第一、第二、第三と開けると、真っ直ぐな瞳をストリング兵へ向けて力強く話を続ける。 「今日集まってもらったのは他でもない。数週間前に出発した、我々の同胞(どうほう)からの連絡が途絶(とだ)えたことにある」 壇上のバッカスが兵たちに話をする、その後ろ――。     
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