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5章
檀上から話を続けているバッカスの後に座っている二人の男女。
ストリング帝国の将軍の2人――ノピア・ラシック将軍とキャス・デュ―バーグ将軍。
「話が長いな」
ノピアは、オールバックの髪に手をやり、細い目をさらに細めて言った。
そして、退屈そうに首に巻いた黒いスカーフの位置を直している。
その横で、両腕を組んで姿勢正しくしている金髪の女性――キャスがネクタイを締め直すと、椅子から立ち上がった。
立ち上がったキャスは、壇上へと近づいて行き、話を続けているバッカスの肩を叩く。
「バッカス将軍。もういい、私が代わろう」
並ぶ二人の将軍。
身長178cmある長身のキャスだが、188㎝はあるバッカスの横に並ぶと、やはり小さく見えた。
キャスの透き通った碧眼に見つめられたバッカスは、黙ったまま後ろへと下がっていく。
入れ代わったキャスは、金髪のロングヘアを両手で背中へ払い、ストリング兵たちの方へ向く。
「キャス将軍だ」
「相変わらずお美しい……」
壇上へ立ったキャスの姿を見て、兵たちから声が漏れ始めた。
無理もない。
彼女の顔も体も、まるで女神の彫刻のように美しかったからだ。
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