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少女の目の前で、轟音と閃光が迸る。
聞き慣れ、見慣れているはずのものだったが、少女は震えが止まらなかった。
銃声、そして放たれた電磁波。
少女の父親が、古い突撃銃を思わせる形状をしたインストガンを乱射している。
広大な砂漠の中を、父に手を引かれ走る少女。
電磁波が当たり、身体の一部が吹き飛んだ怪物の大軍が、咆哮をあげながら凄まじい勢いで追ってくる。
怪物は、いずれも人間と同じような姿をしていた。
だが、その手足は異常に大きかったり、長かったり。
そして、その瞳からは知性の欠片も感じさせない。
すでに、他の仲間は全滅していた。
今追って来ている怪物に噛みつかれ、力任せに引き裂かれて、無残に殺されていったのだ。
「お母さん……」
少女は走りながらも、後ろを見ていた。
無理もない。
殺された仲間の中に彼女の母親もいたのだ。
少女の妹はすでバラバラにされたのか、その姿は見えなかった。
力強く腕を引かれた少女は、砂に足を取られて躓いてしまう。
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