1章

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リードは後頭部に当てていた両手で顔を(おお)って叫ぶ。 「ひどいッ! いまさり気なく本気で言ったのにッ!!」 落ち込むリードを気にせずに、アンは一人で前へと進んでいった。 二人が話していた急な結婚式というのは、軍の同じ部隊である同僚の話だ。 この国では、年齢に関係なく夫婦になることができる。 リードは急だといったが、もしかしたら明日にでも命を落とすかもしれないため、同僚の二人は結婚を決めた。 それはこの国の外にいる、キメラと呼ばれる人の形をした怪物を相手に日々を戦っているからだった。 今からおよそ数百年前――。 世界は、ある日を(さかい)崩壊(ほうかい)した。 先ほどの話に出てきたキメラが大量発生したからだ。 なぜキメラが大量発生したのか? その原因は、クロエと呼ばれているコンピューターが、突然動き出したせいだった。 クロエの暴走で、世界は膨大(ぼうだい)な数のキメラと荒廃(こうはい)した大地に覆いつくされる。 この世界から人類が消え去ると思われたが、ある一人の男がクロエの暴走を止めることに成功した。 噂話だが、その男は顔が隠れるくらい前髪を伸ばしており、高齢なのか、髪の色は真っ白だったそうだ。     
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