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2章
――次の日の朝。
息が白くなるほどの寒気の中、陽が丸太小屋を照らし、窓から光が入って来る。
アンは眩しそうに目を覚ました。
その傍には、豊かな白い毛で覆われた子羊――。
電気仕掛けの羊――ニコが、まだ寝ぼけているアンの顔をペロペロと舐めている。
「おはよう、ニコ」
声をかけると「メェ~」と鳴き、アンに寄り添うニコ。
カーキ色の寝袋の中にいるアンは、まるで芋虫のようにウネウネと動いていた。
アンは、軍から支給された寝袋を気に入って、毎日これで眠っている。
寝袋には、封筒型とマミー型があり、封筒型は布団を袋にしたような、まさに封筒の形をしているタイプ。
マミー型はもっと身体にピッタリとした、どちらかというと寒冷地向けのタイプだ。
軍から支給されたのは後者。
一緒に住んでいるグレイは、何度もベットで眠るように言った。
だがアンは、それをけして聞こうとはしなかった。
今日も寒いためか、ウネウネと寝袋のまま床の上を移動する。
ニコも同じように動きながら、その後をついていった。
「おはよう、今日も横着だなぁ。ニコまで連れちゃって」
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