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 恋人に見えるように、ということで、それから俺は晴樹と一緒にいることが多くなった。昼休みになれば一緒に食堂に行って昼食を食べ、放課後になればうまく時間を合わせて並んで帰路についた。  遊びの誘いの連絡も、頻繁にくるようになった。どちらかの家でベッドに横になりながら漫画を読んだりゲームをしたりするときもあれば、町へ繰り出しゲームセンターでお金を浪費したり、服や靴を見て回ったりするときもあった。  ある日、俺は晴樹に、ここまで念入りに演じる必要があるのかと訊いてみた。その問いに対する晴樹の答えは「どこで彼女が見てるかわからないから」というものだった。 「落ち着くまで、もう少し我慢してもらえないかな」 「まあ、別にかまわないけど」  恋人のふりを始めた直後は少し身構えていた部分もあったが、実際にやり出してみると、以前と大差ない日常が続き、すぐに慣れてしまった。  夏休み前に、ふたりで泊りがけの旅行に行こうという話になった。言い出したのはもちろん晴樹だ。  ネットや雑誌を漁り、ふたりで旅行プランを立てた。観光地はどこへ行くか、その周辺にはどんなおいしいお店があるか。考えるだけで気持ちが弾んだ。  そして迎えた旅行当日。  晴樹が死んだ。
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