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本棚に追加ことの発端は、学校がそろそろ冬休みに突入しようかという、そんなある日、堀越にかかってきた一本の電話だった。
「兄ちゃん?」
電話の向こうに久しぶりに弟の声を聞いて、堀越はなんとなく鼻先を指でこすった。
親しいはずの相手と長く離れていて再会したときの、あの独特の気恥ずかしさみたいなものが、そんな仕草を彼にさせたのだ。
「昂平…どうした?」
相当なブラコンであるはずの彼が連絡を取ってきたのは、遊佐が堀越を庇って怪我をしたあの日以来である。
「あのさ、兄ちゃん、今度の正月は実家帰るの?」
普段コンビニでのバイト三昧の堀越も、去年の年末には休みを取って実家に帰っていた。
そのときまだ彼の弟は受験生で、この年末が弟にとって実家を出て初めての年末であることに、堀越は思い当たる。
「いちお、正月ぐらいは帰るつもりだけど?」
あんまり深く考えずに、そう答えた。
「つか、お前はどうするつもり?忙しいだろうけど、父さんと母さんに正月ぐらい顔見せてやれよな」
電話の向こうの弟は、しかし堀越の思っていたのとは違うところに質問の意図を持っていたらしい。
「え、兄ちゃん……アイツと正月一緒に過ごさないわけ?」
心なし嬉しそうにそう言われて、はたと堀越は言葉を失った。
遊佐と一緒の正月。
そうか、遊佐もお正月は仕事が休みになるのではないか。
もちろん、恋人同士にとって最大のイベントであるクリスマスイブの夜は、一緒に過ごす約束をしていたが。
ベタだけれどもそれがあまりにも楽しみすぎて、堀越はその先のことまで全く考えてもいなかったのだ。
「んじゃさ、一緒の新幹線で帰ろう、兄ちゃん」
無邪気にはしゃぐ弟の声が、堀越を我に返らせた。
「うん、わかった…」
そう返事はしてみたものの。
遊佐が正月を堀越と一緒に過ごすつもりでいたら、自分はどちらを選ぶのだろうか。
そんな問いが頭の中をぐるぐる回って、どこか歯切れの悪い返事になってしまったのだった。

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