第2章 12年の沈黙を破る時

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 ゆっくりと、ラディスはリムルに歩み寄った。 「南グリーンピアトの検事さんとお伺いしましたが、こちらに移られたのですか? 」 「・・・頼まれた案件が・・・ありますので、それが終わるまで・・・ここに・・・」 「そうだったのですね。私も、ずっと頼んでいた事件の真相が、ようやく判ってスッキリしたところです」  え? と、リムルはラディスを見た。  ラディスは、とても優しい眼差しでリムルを見ている。 「もう・・・隠れなくていいですよね? ・・・無実なんだから・・・」 「はぁ? ・・・なんの事でしょう? 」  少し、視線を反らしてリムルは尋ねた。 「検事になったのは、エデルを逮捕する為? 」 「王妃様を逮捕? どうゆう事でしょう? 何を言われているのか、分かりません・・・」  そう答えるリムルの目が、オドオドしているのをラディスは見逃さなかった。 「1つだけ言わせて下さい」 「はい・・・」 「無理をしないで下さい。貴女がいなくなれば、悲しむ人がいます。そのうちの1人が・・・私です・・・」  何を言っているの? と、リムルはラディスを見た。 「貴女に出会えてよかった・・・」  リムルはスッと視線を落とした。 「奥様を庇うお気持ちで、そのような事を仰っているのでしたら、やめて頂けませんか? 」 「え? 庇う? 誰を庇うと言うのだ? 」 「仮にも、王妃様でいらっしゃる奥様ですから。逮捕されては困りますよね? 何か、奥様に対して、疑惑でも感じられましたか? 」 「疑惑? 」    リムルはニヤリと口元に笑いを浮かべた。 「10年以上、ご一緒ですもの。何か、ご存知なのかもしれませんね」 「何が言いたいのですか? 」 「別に・・・」  少し呼吸を整え、リムルはもう一度ラディスを見た。 「それより、私と話をしていて大丈夫なのですか? 」 「え? 」  ふと、笑いを浮かべるリムル。 「・・・失礼します・・・」  憮然としたまま、リムルは去って行った。  去り行くリムルを目で追って、ラディスは少し恐怖を覚えた。
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