第1章 南グリーンピアトからの訪問者

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グリーンピアトは極寒の冬がとても長い。 ようやく極寒の冬が終わり、春がやってきた今日この頃。 春の暖かい日差しが心地よく照らされている。 グリーンピアトの北にある小高い丘の上に建ち聳える静かな墓地。 ここは貴族やお金持ちが埋葬されている墓地である。 一番高い場所に王家のお墓がある。 囲いと屋根があり、納骨銅のようになっていて、代々の王家一族が埋葬されている。  真新しい十字架の前に一人の女性が立っている。  黒いつばの広い帽子にサングラス。  顎のラインがとてもほそりとしていて、喪服から見える首筋は細くて、かなり痩せているように見える。  喪服に身を包み、スカートは踝まで長く、黒いハイヒールで長身に見える。  真新しい十字架を見つめ、口元を引き締める女性。     「あの女、一体何人殺したら気が済むのかしら・・・」  トーンの低めの声であるが、とても澄んで綺麗な声をしている女性。  手に持っていた白い薔薇の花束を、十字架の前に置き、祈りを捧げると、女性はもう一度十字架を見つめた。 「待っていてね、必ず仇はとってあげるから」  そう呟く女性の声は、さっきよりトーンが低かった。 「お祈りは終わったかい? 」  女性の後ろからやって来た1人の男性。  軽やかないサンフラワーのショートヘヤーに、面長の顔にぱっちりした爽やかな目をしている、爽やかなイケメンタイプの男性。  瞳の色が透き通る青色で、見ているだけで引き寄せられそうになる。    スラットした長身で、黒いスーツがきまっている。    女性は男性に振り向くと、ゆっくりと頷いた。 「しっかしすごいね、王家のお墓って。ここに、代々の王家一族が眠っているんだね」 「ええ・・・」 「さっ、そろそろ行こうか。太陽が上がって来たから、誰か来るといけないしね」 「はい・・・」    木々の隙間から、太陽の光が差してくる中、男性と女性が王家のお墓から下へ続く長い階段を下りてくる。  早朝であるため、まだ誰も来ない霊園は、とても静か。  小鳥のさえずりが心地よく聞こえてくるくらいである。  
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