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その頃。
風が心地よい港。
ここから船が出航している。
東西南北のグリーンピアトに向かう船の出向はまちまちで、西と東には出航瓶が定期的に出ているが、来たと南には月に一度しか出ていない。
急ぎの者は特別船でやって来る。
しかし、北にはなかな特別船でも行く事はできない。
何故なら、北は極寒の地であり、分厚い氷に閉ざされている事が多く、北へ向かう専横船でしか向かう事は困難なのである。
無理に行くと沈没してしまい帰って来れなくなる。
グリーンピアトの冬よりも、もっと極寒で、とても厳しい北に向かう人はそれほど多くない。
逆に南は冬がない常夏の地である。
しかし波が荒いため、南にも専用船でなければ行く事はできない。
無理に向かうと荒波に飲まれて沈没してしまうのだ。
北と南は、なかなか行く事ができないと言われている地である。
今日は南グリーンピアトからの船が到着する日。
常夏の南グリーンピアトから到着した船から降りてくる人々は、まだ春と言っても寒さを感じるグリーンピアトに非常に寒いと感じる人も少なくない。
そんな船から降りて来た1人の男性がいた。
身軽るで、荷物をさほど持っていない、年恰好から50代前後に見える口ひげを生やし、眼鏡をかけたちょっとインテリーな感じの男性。
茶系のジャケットとスラックスから、どこかの紳士に見える。
男性が船から降りてくると、ミーシェルの秘書であるテノリエが駆け寄って来た。
「カリナス医師。お待ちしておりました」
駆け寄ってくるテノリエを見て、男性ことカリナスは手を振った。
「ご無沙汰しております、カリナス医師」
「すっかり大きくなったね、テノリエ。驚いたよ」
「いやぁ。もう、12年ですからね」
「そうだったね、グリーンピアトはどうだね? 」
「結構楽しいですよ、ちょっと寒いですけどね」
「そうか」
「どうぞ、お車用意していますので、こちらに」
テノリエに案内され、カリナスは車へ向かった。
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