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車のに乗りこみ、カリナスが向かった先は帝国ホテル。
グリーンピアトの高級ホテルで、貴族やお金持ちしか利用できない会員制のホテルである。
1階にはラウンジやカフェが用意されていて、密会の場所によく使われている。
最上階のスイートルームは王室専用の部屋で、普通の人は絶対に入れない。
最上階に行くには特別エレベーターに乗らなければ行けない仕組みになっている。
それを動かせるのは、帝国ホテルでも上席の者しかいない。
そんなホテルにやって来たテノリエとカリナス医師。
静かなカフェの個室に向かうと、そこにはリムルがいた。
カリナスがやって来ると、リムルは会釈をした。
「お待ちしておりました。カリナス医師」
カリナスはリムルを見ると、少し目を潤ませた。
「では、私は入り口でお待ちしております」
テノリエはそう言って去って行った。
個室からはガラスの囲いで、その向こう側に綺麗な緑の木々、そして綺麗な花々が見える。
「お元気になられて、安心しました。その後、お変わりはございませんでしょうか? 」
「ご心配なく、私は大丈夫です。それより、検察局に送られてきたお手紙、拝見しました。宜しいのでしょうか? 」
「はい、私も覚悟を決めました。いつまでも、このまま嘘を通すことはできません。12年の沈黙を破り、真実が明かされた今、私も真実を明かす時が来たのです。・・・ずっと、苦しかったのです。・・・貴女には、本当に感謝しています」
「いいえ、私の方こそ。何から何まで、ご迷惑ばかりかけてしまいました。これは、本の気持ちです、受けとって頂けますね? 」
リムルは一枚の紙をカリナスに差し出した。
カリナスは紙を受け取ると、驚いた目をした。
「こ、これは・・。頂けません。私は、ただ、償っただけですから」
「いいえ、受け取って下さい。これは、私だけではなく、色々な人の想いが込められています。受け取って頂かなければ、安らかに眠れませんから・・・」
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