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「ミディアル様のご家族が亡くなられた事、国王様はご存知でしょうか? 」
「いや、何も聞いていません。いつ、亡くなったのですか? 」
「もう、12年も前です」
「えっ? どうしてですか? 」
「人災による焼死でした。偶然、その日は私が訪問した日でございました。かえりぎわに、怪しい人物を目撃しておりましたので、その証拠を提出する為に戻ってきたのです」
「ミディアルの両親が・・・殺された? どうゆう事なのですか? 」
「12年前のあの事件から、ミディアル様のご両親へも非難は続いておりました。家から一歩も出らない状態で・・・私が定期的に訪問して様子を見ておりましたが・・・。帰った直後に火災が起こりました・・・。私は帰る途中、怪しい人物を目撃しております。その者は、小さな小瓶を落として行かれましたので、それを調査しておりました」
「小さな小瓶? 」
「はい。その小瓶からは、毒薬の反応が出ております。その毒薬は、12年前の、赤ちゃんからも検出されております」
「と言う事は・・・」
「ご想像の通りです。・・・」
毒・・・小瓶・・・
全てが繋がる・・・
エデルと・・・
ラディスは怒りが込みあがって来て、拳を握り締めた。
「ミディアルのご両親が亡くなられた日はいつなんですか? 」
「12年前のこの時期でした。葬儀には、私だけが参列しました。誰も、犯罪者の家族の葬儀には参列してくれませんから」
誰も参列してくれない葬儀・・・
まだ死にたいなんて思っていないのに、殺されてしまった人が、どれだけ無念でこの世を去って行ったのだろう・・・
きっと、ミディアルのご両親も娘の無罪を信じていたはず・・・
怒りと悲しみが込みあがって来て、ラディスの目が潤んだ。
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