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「国王様。ミディアル様のご両親は、最後までミディアル様の無実を信じておられました。どんなに非難されようとも、絶対に無実が晴れる日が来ると最後まで言っておられました。最後に接したのが私でありながら、護り切れなくて申し訳ないとずっと後悔しておりました」
「・・・分かりました。・・・話してくれて有難うございます」
溢れそうな涙を呑んで、ラディスはそっと微笑んだ。
「いいえ。私も、これで心置きなく出発できます。国王様なら、ミディアル様を幸せにしてくれると信じられますので」
カリナスは右手を差し出した。
ラディスはカリナスの右手をとり、そっと握手した。
「何かお困りの時は、いつでもご連絡下さい。お力になりますので」
「ありがとうございます。いつか、またお会いできるといいですね」
ラディスはミディアルの家族の事を聞いて、酷くショックを受けていた。
大切な家族を殺されてしまい、犯罪者の汚名まで背負って、どんな気持ちでいるのだろう・・・
もっと早くミディアルの家族の事まで気が付いていれば、こんな事にはならなかったのかもしれない・・・
自分を責める気持ちと、ミディアルを想う気持ちが沸き上がって来て、ただ・・・ただ・・・
ミディアルに会いたい・・・
そう思う気持ちだけが膨らんできたラディス。
その後、2時間後に北グリーンピアト行くの船が出航した。
この船が出航したら次の便は来月にならないと出る事はない、また、北グリーンピアトから来る船もすぐにはこない。
グリーンピアトの最も北の最果てにあるとても寒い地。
南グリーンピアトとは全く違う地に、カリナスは行ってしまった。
海岸。
波打ち際で、リムルが佇んでいる。
北グリーンピアト行きの船が出航するのを見送っているようだ。
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