第4章 エデルの秘密

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 カリナスが北グリーンピアトに行ってから数日後。  城下町に号外が流れた。  それは13年前のエデルの元夫、ラシーヌの死因が「毒殺だった」と言う号外である。  ラシーヌはとても元気でどこにも病気はなく、健康第一に暮らしていた。  しかしエデルとの再婚前から、急に体調をこわすようになってきた。  エデルと結婚してからは、ずっと入院生活をおくるようになり、三ケ月で「心不全」で死亡した。  初めは風邪等の症状と判断されていたが、回復の見込みがなく、検査をするも特に異常は見つからなかった。    心不全で亡くなったラシーヌを解剖したところ、胃の中から毒薬が検出された。  毒薬は微量であったが、一度に多量に服薬されれば死に至る薬であった。  毎日少しづつ何かに入れて口にしていれば、やがては死に至る。  ラシーヌの前妻からも同じ「毒薬」の反応が見つかっている事も、証明されている。  当時妻であったエデルは大学では薬学部を専攻していた。  薬には非常に詳しい。  学生時代にエデルと交際していた男性も「心不全」で亡くなっている者が数名いた。  号外の中に写真が掲載されている。  それは、エデルが医師へ宛てたであろう手紙の一部である。 (死因は心不全で処理して下さい。名門貴族の家で毒殺事件が起こっては、名誉に傷がつきます。口止め料として1憶ギロをお渡しします)  と、書いてある手紙である。  城下町では号外に騒然としている。  その号外はお城にも届いていた。  使用人達が号外を見てざわついている。 「これって、王妃様の事よね? 」 「そう、たしかラシーヌ男爵と結婚していたって聞いたもの」 「病死って言っていたけど、毒殺だったのね? 」 「そういえば、先代の国王様と王妃様も「心不全」だったわよね? 」 「もしかして・・・」
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