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リムルは一枚の書類とペンを取り出し、エデルの目の前に置いた。
「なんなの? これ」
エデルは書類を手に取り内容を読んだ。
「はぁ? どうゆう事? あんた達検察でしょ? こんな事、許されるわけ? 」
リムルはニヤリと口元に笑みを浮かべた。
「検察だからできます。せっかくの王室に、傷をつける事はしたくありませんので、できれば穏便に事を済ませようと、局長ともお話ししていました。そちらにサインして頂ければ、今回の騒動の発端である報道も、誰かの流したデマだったと、報道を流します。それで、少なくとも、国民達はおとなしくなる思われます」
エデルはもう一度書類を見る。
書類には取引条件が書かれている。
今回の報道につき、王妃エデルを任意同行しない代わりに、10憶ギロの支払いを要求する。
これは保釈金と同じ効力であり、正当な請求とする。
支払いが行われない場合は、直ちに「殺人未遂容疑」として逮捕に踏み切る。
その場合、いかなる保釈金が支払われようと保釈はしない。
と・・・
エデルは唇を噛んだ。
10憶ギロなんてお金は、今の王室にはない。
エデルの贅沢品を全て売りさばいても用意できるお金ではない。
しかし、逮捕されればすべてが明るみになる。
ラシーヌの事だけじゃなく、12年前の事件の事も明白になってくるだろう・・・
そうなれば、計画は全てダメになる・・・。
「どうなさいます? 王妃様。我々も、できれば、貴女が失脚するところは見たくありません。・・・ですよね、局長」
「そうですね。遠い昔に、王室ではとても残酷な事件が起りました。できれば、もう二度と、王室から犯人を出したくはありませんので、これは苦渋の決断でございます」
まるで苦虫でも噛んだような顔をしているエデル。
リムルは背を向けてそっと笑いを浮かべた。
「これじゃあ、まるで恐喝じゃない? 10憶ギロなんて、どこにそんなお金があるって言うの? 支払えないのを分かっていて、わざとやっているわけ? 」
リムルの背中を見つめて、エデルはが言った。
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