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「南グリーンピアト・・・ずいぶん遠くから・・・。だけど・・・」
去り行くリムルの後ろ姿を見ながら、先ほどまで虚ろ気味だったラディスの目が、だんだんと光を取り戻したかのように、イキイキとしてきた。
朝日が昇り始めてだんだんと明るくなってきた。
ラディスはミーシェルとリムルと別れて、王家のお墓にやって来た。
真新しい十字架に、歩み寄ってくるラディス。
すると・・・
十字架の前に、1人の少年が立っていた。
後ろ姿から見てもまだ幼い子供のようである。
背丈も中くらいで、柔らかそうなサンフラワーのショートヘヤーが可愛らしい。
ラディスは立ち止り、少年の後ろ姿をじっと見つめた。
「おはようございます、国王様。少し、遅かったのではありませんか? 」
そう言って、振り向く少年。
「え? 」
振り向いた少年に、ラディスは驚いて、持っていた花束を落としてしまった。
朝日に照らされて、輝いて見える少年は、まるで天使のように綺麗な顔をしている。
子供らしく丸い輪郭の顔に、ぱっちりした睫毛の長い目に青い瞳。
スッと筋の通った高い鼻に、魅力的な唇。
黒いスーツを着ている姿は、まるでどこかの皇子様のようである。
「・・・ミディアル? 」
ラディスが呟いた。
少年はちょっと悪戯っぽく笑った。
「違います。僕の名前は、ランフルクと言います。初めまして、国王様」
初めましてと言うわりには、なんだか前から知っているような顔をしている少年ランフルクに、ラディスは何故か胸が熱くなるのを感じた。
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