0人が本棚に入れています
本棚に追加
おはよう
目が覚めるとそこには、一面のヒマワリ畑が広がっていた。上を見ると、太陽が輝いている。まるでお母さんにほほえまれたみたいに、ぼくの心は温かく満ち足りた。
「ああ、ぼくもあんなふうに輝きたい!」
気がつくと僕は、声を出していた。その声で、周りのヒマワリたちがいっせいにぼくの方を向く。
「やあ、おはよう」
「やっと目覚めたかい」
「土の中はせまかっただろう。地上に出たからには、今までよりものびのびと暮らせるだろうよ」
ああ、そうだ。ぼくは土の中で眠っていたんだっけ。
みんなは背が高いなあ。ぼくもあんなに立派になりたい。
うーん、と背のびをしてみる。それでも、大人のヒマワリのほうがずっとずっと背が高い。
土の中で小さくなっていた体をのばすのは、なんていい気持ちなんだろう。土の中はなんだかきゅうくつだったけれど……。
もう一度背のびをしてみる。うーん、やっぱり気持ちいい。これが、のびのびってことなのかな?ということは……これが「自由」ということなんだ!
「ぼくは自由なんだ!」
そうだ、自由だ。どこまでもどこまでもぐんぐんのびることができるのが、それが自由なんだ。
ぼくは少し、大人に近づけた気がした。もっともっと太陽の光を浴び、土の栄養分を吸収して、もうすぐ大人になれるんだ!
大人になったら、大きな輝く花を咲かせよう。ヒマワリのぼくは、心の中でそっとつぶやいた。
最初のコメントを投稿しよう!