真っ白な君に

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もしあの頃に戻ってもう一度やり直せたなら、今度は上手くやれるだろうか。 そんなどうしようもないことを考えながら、衝動を抑えつける。本当は、この場から彼女を奪って逃げる盗賊になりたかった。王子様になれないのなら、それくらいは赦してほしいものである。 しかし、それが出来ないのは真っ白なドレスを身に纏う彼女が、あまりにも幸せそうに見えたから。 あのとき、彼女を抱き締めて付き合ってほしいと言えたなら今彼女の隣にいたのは私だったのだろうか。 ―どうして女同士なんだ。 女としての人生が楽しくないと言えば嘘になる。可愛い洋服に身を包むのも、メイクをするのも大好きだから。でも、そんなものをかなぐり捨ててでも彼女がほしかった。 私は憎いほどに青く澄んだ空を見上げて自分の性を恨んだ。 あんなに好きだといってくれたのに。 あなたは本当に罪な人。
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