プロローグ

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プロローグ

リンゴーン。 リンゴーン。 リンゴーン。 ……。 ――ごきげんよう。 ――ごきげんよう。 ――今日、琥珀さんの所、新しい方がいらっしゃるんですって? ――ええ。そうなんです。なんだか緊張しちゃって……。 ――大丈夫よ、琥珀さんなら。きっと立派にお導きできるわ。 ――そうだと良いのですが……。 ――あら? 噂をすれば……。 サクサクと草を踏みしめる心地よい音が近づいてくる。 ぼんやりする意識の中、私はゆっくり顔を上げた。 「ごきげんよう」 「へっ?」 「私、琥珀と申します。今日から貴女をお導きする者です」 「あのぉ……」 「よろしくお願いします」 ふふっと笑って、『琥珀』と名乗る女性が、右手を差し出した。
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