8ct

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「コスモ」 森に入ると、私はすぐさま愛しい人の名前を呼んだ。 それから、耳を澄ます。 もうじき聞こえてくるはずだ。 私を呼ぶ、甘く、穏やかな囁きが……。 「……コスモ?」 もう一度、呼んでみる。 おかしい。こんなこと、一度もなかったのに。 「ねえ。いるんでしょ? からかわないで」 私は、木々の間をすり抜け、更に進んだ。 「コスモ? どこにいるの?」 返事がない。 「冗談はやめて! いい加減にしないと怒るよ!」 ガサッと、木の陰から音がした。 「コスモ?」 「アメシスト」 細い声が聞こえた。 「どうしたの?」 声のする方に駆け寄ると、そこには、木にもたれて座るコスモの姿があった。
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