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ふうっとため息をつくと、「アメシスト……」琥珀は私の肩に手を置いた。
「ここでは、何をしても構わないと言ったわ。けれどそれは、ジュエル国での話よ」
「迷いの森は、ジュエル国ではないってこと?」
「やっぱり行っていたのね。迷いの森に……」
「う……」
ぐうの音も出ないとは、この事だ。
琥珀はゆっくり窓辺に近付くと、窓の外に広がる草原に目を向けた。草原の向こうに、うっすらと、清麗の丘が見える。
「あそこはね、ジュエル国であって、ジュエル国ではないの。異空間とでも言うのかしら? あそこに導かれた魂は、こちら側には来ることができないと言われているわ」
「でも、私はちゃんと戻ってきた」
「そうね……」
琥珀がこちらを振り返った。
逆光に象られ、琥珀はまるで女神のように光り輝いていた。
「よくわからないのだけれど……」
そう前置きをすると、琥珀が自分の考えを述べた。
「あなたの魂は、元々ここへ導かれた魂。だからきっと、戻って来られたのだと思うわ」
「じゃあ、コスモは?」
「コスモ?」
琥珀が首を傾げた。
ここまで来たらもう、正直に話すしかない。
私は観念し、これまでの事全てを打ち明けることにした。
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