6ct

5/18
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
「何をしているのですか? そんな所にうずくまって」 振り向くと、青紫の髪をした青年が、優しく微笑んでいた。 「タンザナイト!」 勢いよく立ち上がると、その懐かしい笑顔の側へと駆け寄った。 「久しぶり! ずっと姿を見かけなかったから、てっきりもう……」 「ははは。そうですね。当たらずとも、遠からずです」 タンザナイトが、穏やかに微笑んだ。その表情はまるで、生まれたての赤ん坊のように無垢だった。 「タンザナイト……。あなた……」 「ええ。もうすぐ浄化の道が開かれます。その前に、あなたにご挨拶をと思いまして」 タンザナイトの瞳が光を取り込み、ひときわ明るく輝いた。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!