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「何をしているのですか? そんな所にうずくまって」
振り向くと、青紫の髪をした青年が、優しく微笑んでいた。
「タンザナイト!」
勢いよく立ち上がると、その懐かしい笑顔の側へと駆け寄った。
「久しぶり! ずっと姿を見かけなかったから、てっきりもう……」
「ははは。そうですね。当たらずとも、遠からずです」
タンザナイトが、穏やかに微笑んだ。その表情はまるで、生まれたての赤ん坊のように無垢だった。
「タンザナイト……。あなた……」
「ええ。もうすぐ浄化の道が開かれます。その前に、あなたにご挨拶をと思いまして」
タンザナイトの瞳が光を取り込み、ひときわ明るく輝いた。
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