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「琥珀さんは、常にあなたの身を案じております。危険な目に遭いはしないか、良くない事に巻き込まれはしないか、いつでもどこでも、気にかけていらっしゃいます」
「どうして、そこまで……」
「大事だからですよ。あなたの事が。この世界の何よりも」
「アドバイザーだから?」
「いえ。それだけではありません」
「どういうこと?」
「それは……」
タンザナイトの目が、遠くに向けられた。その視線の先には、清麗の丘があった。
「縁ですよ」
「縁……」
「そう。あなたと琥珀さんはきっと、とても深い縁で結びついているのです。あなたのアドバイザーになったのも、偶然ではありません。お二人はきっと、運命のお導きによって出会われたのではないかと思います」
「運命……」
「そう。だから……」
視線を戻すと、透明感のある表情でタンザナイトが微笑んだ。
「あなたはきっと、戻ってくる。どこへ行っても。何があっても。あなたは必ず、戻ってくる。いえ。戻って来なければならない。大切な、琥珀さんの元へ」
「タンザナイト……」
「それだけを、伝えに来ました。今までありがとうございました。短い間でしたが、あなたと過ごした日々は、とても楽しくて、刺激的でした」
タンザナイトが、右手を差し出した。その手に、私も右手を重ねた。
あの日、湖のほとりで初めて会った日と同じ、暖かくて、優しい手だった。
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