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「あ、そうそう。ガーネットも心配していましたよ」
「ガーネットが?」
「はい。彼女は素直ではありませんからね。あなたと違って」
クスッと笑うと、タンザナイトは続けた。
「ガーネットからの伝言です。『止めても聞かないだろうから止めない。だけど、必ず戻って来なさいよ。あたしはアメシストを信じてる』だそうです。面と向かうと喧嘩腰になりそうだからと、私に伝言を託したそうです」
「ガーネット……」
「アメシスト。あなたは、自分で思っているよりずっと、色んなものに護られているのですよ。その事を忘れないで下さい」
私の頬に、涙が伝った。
「ありがとう。タンザナイト。私もタンザナイトの事、大切に思ってるよ」
「ありがとうございます」
王子様のような優雅な仕草で、タンザナイトが深々と頭を下げた。
「では、またどこかでお会いしましょう」
「うん。またどこかで」
にっこり笑うと、タンザナイトは戻って行った。
これから始まる、長い長い、瞑想の世界へ……。
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