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コスモがそっと、私の身体を抱き寄せた。
「大好きだよ。アメシスト」
そう耳元で囁くと、コスモが私の髪を優しく撫でた。
「コスモ。私もあなたの事が大好き。例えジュエル国のみんなを敵に回したとしても」
「ありがとう。……でも、それはちょっと困る」
「えっ?」
思わず顔を上げると、悪戯っぽく輝く漆黒の瞳が、そこにあった。
「だって、たった一つの頼みの綱のアメシストまで外界と遮断されてしまったら、僕たち二人で路頭に迷っちゃうじゃん。そしたらもう、絶望しかないだろ?」
「絶望って……」
「僕は楽しみにしてるんだよ。アメシストの話を。だって、この閉ざされた空間の中での唯一の娯楽は、アメシストが話してくれる外の世界のことなんだから」
「ひどっ! まさかそれが目当てで?」
「だから、アメシストは早く琥珀さんと仲直りして。そうしないと、僕の楽しみがなくなっちゃう」
ニヤリと、コスモが笑った。
「もう! 本当に意地悪なんだから!」
怒って胸を叩くと、コスモは「痛い痛い」と言いながらも、嬉しそうに大笑いした。
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