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「それよりこれ、どうしたの?」
コスモが私の両手を掴んだ。
「あ。そうだった」
私の両手には、たくさんの花が握られていた。
迷いの森に入る前に、清麗の丘で摘んできたのだ。
「これでね、花飾りを作ろうと思って」
「花飾り?」
「そう。ここには何もないでしょ? 私のいない間、コスモが暇を持て余してるんじゃないかと思って」
「そっか。ありがとう。助かるよ」
コスモは少し笑ってから、「……にしても、花飾りって……」と苦笑いした。
「本当はね、魚とか作りたかったんだけど、なんだか難しそうで……。結局、唯一作れるようになったのが、花飾りで……」
「ふぅん」
腕を組むと、コスモが横目で私を見た。
「で、その可愛らしい花飾りを、僕に作れと。まあいいけど」
「いいじゃん。出来上がったら、貰ってあげるからさ」
「調子いいなぁ」
少し小馬鹿にしながらも、「貸して」と、コスモは手を出した。
「よし。じゃあ、始めましょうか」
私は先生さながらに、花飾り制作の説明を始めた。
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