9ct

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「あれ? ここは?」 気がつくと私は、歩道のベンチに腰掛けていた。 目の前を、大勢の人々が忙しなく行き交っている。 街にはイルミネーションが飾られ、幸せそうなカップルたちが、何やら楽しそうに話しながら通り過ぎていく。 「紫音(しおん)」 突然肩を叩かれ、振り返る。 そこには、優しそうな男性が立っていた。 「ごめん。急いで来たんだけど……」 その男性は、乱れた黒髪を簡単に直すと、恥ずかしそうに微笑んだ。 「良かった。断られたらどうしようって、そればっかり考えてた」 「え?」 「でも君は、来てくれた。これが答えだって受け取っても、いいのかな?」 私は辺りを見渡した。 街路樹にはイルミネーション。 鳴り響くクリスマスソング。 今日は、クリスマスイブ。 そして今日は、私たちの、初めて記念日……。 「こう……せい……さん……」 私の瞳に、涙が溢れた。
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