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「煌星さん!」
勢いよく顔を上げると、目の前に、琥珀の心配そうな顔があった。
「琥珀さん! 煌星さんが! 煌星さんが……!」
「しっかりして、アメシスト! 何があったの?」
一呼吸して辺りを見渡すと、そこは、清麗の丘だった。すぐそばには、泉がある。
「琥珀さん。私見たの。自殺だった……。コスモが彷徨える魂になったのは、自殺だったの……!」
「アメシスト!」
「行かなきゃ……。煌星さんが、待ってる……」
私はふらりと立ち上がった。
「待ちなさい! アメシスト!」
私の腕を、琥珀が掴んだ。
「私は紫音! アメシストなんかじゃない!」
「何を言って……」
「わかったの。全て。私は紫音。そしてコスモは……煌星さん」
「煌星さんって……?」
困惑した表情で、琥珀が聞き返した。
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