3ct

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リンゴーン。 リンゴーン。 リンゴーン。 ……。 「ごきげんよう」 「ん……?」 あれ? 私、一体? 「ごきげんいかが? アメシスト」 「あ……琥珀……さん? どうして……?」 気が付くと、目の前に琥珀が立っていた。 「ここは……?」 ぐるりと辺りを見回す。 白壁に、落ち着いた茶色の腰板。ドアの横と南側にそれぞれ、小さな丸い窓がある。 「私の家……?」 「そうよ。当たり前でしょ?」 猫足チェアーに座る私を、琥珀が見下ろす。 「え? でも私、さっき図書館に……」 そうだ。 私は図書館にいたのだ。 セントラルタワー最上階、二十階にある図書館。 円形の書棚をびっしりと埋め尽くす本を前に、胸を躍らせていたのは、ほんの数分前……だったはず。 「リセットされたのよ」 「リセット……?」 笑顔で見下ろす琥珀の瞳を、穴の開くほど見つめていると、「今日が始まったの」意味不明な言葉が、その可憐な口から飛び出してきた。 「えっとぉ……。ちょっと、話についていけないんだけど……」 「そうね。ごめんなさい」 ふふっと笑うと、琥珀は嬉しそうに説明を始めた。 もしかして私、からかわれてる?
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