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リンゴーン。
リンゴーン。
リンゴーン。
……。
「ごきげんよう」
「ん……?」
あれ? 私、一体?
「ごきげんいかが? アメシスト」
「あ……琥珀……さん? どうして……?」
気が付くと、目の前に琥珀が立っていた。
「ここは……?」
ぐるりと辺りを見回す。
白壁に、落ち着いた茶色の腰板。ドアの横と南側にそれぞれ、小さな丸い窓がある。
「私の家……?」
「そうよ。当たり前でしょ?」
猫足チェアーに座る私を、琥珀が見下ろす。
「え? でも私、さっき図書館に……」
そうだ。
私は図書館にいたのだ。
セントラルタワー最上階、二十階にある図書館。
円形の書棚をびっしりと埋め尽くす本を前に、胸を躍らせていたのは、ほんの数分前……だったはず。
「リセットされたのよ」
「リセット……?」
笑顔で見下ろす琥珀の瞳を、穴の開くほど見つめていると、「今日が始まったの」意味不明な言葉が、その可憐な口から飛び出してきた。
「えっとぉ……。ちょっと、話についていけないんだけど……」
「そうね。ごめんなさい」
ふふっと笑うと、琥珀は嬉しそうに説明を始めた。
もしかして私、からかわれてる?
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