5.ファースト・コンタクト

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 大半の男子生徒は、机と椅子のほとんどを一階の玄関付近に運ぶ作業に駆り出された。校内への突入を防ぐバリケードを作るのだ。生徒玄関と職員玄関は時間を掛けて、特に念入りにバリケードを構築した。  柔道部やラグビー部など体力長けた運動部員は、校舎の中庭で土嚢づくりに精を出した。校内にはいろいろと盾になるものが多く、鋼鉄製の防火壁は一階の窓を守るのに使われ、体育館のステージや各教室の教壇も盾として教室の窓側に立てた。廊下でひっくり返っていた鉄製のロッカーも、教室の窓側に移動した。中には図書館から運んできた本をびっしりと詰め込んだので、鉄砲の弾は貫通しないはずだ。これだけでも、校舎の守りはかなり堅くなった。  守るだけでなく、敵を追い返すための対策も欠かせなかった。中心的な役割を果たしたのは、アーチェリー部と弓道部、それに野球部と陸上部の投てきを専門にしている生徒たちだった。矢やボールをできるだけ集めて、二階の教室に陣取った。伸二は先ほどの活躍が買われて、守備部隊の指揮を命じられた。野球部のピッチングマシーンも二階に設置し、理科室にあったバッテリーとつなげた。これで最大百五十キロの球を連続で発射することができる。
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