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7.反撃
有効な作戦が立てられぬまま、時間は無情に過ぎていった。砲撃は最初ほど頻繁ではなくなったが、それでも数分おきに撃ってくる。着弾するたびに、校舎は大きく震え、生徒の悲鳴が上がった。
「敵に動きがあります」
屋上から報告が来たのは、正午を回った頃だった。
「敵が前進を始めました。こちらに向かってきます」
すぐに立ち上がったのは谷地頭だ。
「来るぞ、すぐに攻撃隊を配置につけろ。窓際の穴をすぐに塞ぐんだ。全員で掛かれ」
何人かの先生が、谷地頭の号令に立ち上がり、教室へ散って行った。
臨時職員室の動きはにわかに慌ただしくなった。
「鍛冶先生」
青柳校長が化学の鍛冶を呼んだ。
「はい」
「例のものは用意できましたか」
「全部で四十八発あります」
青柳校長は小さく頷いた。
「それを攻撃隊、野球部の生徒が良いでしょう。彼らに渡して使用法を説明してやって下さい」
「分かりました。その他に火炎瓶も十数発は作りました。ガソリンがたくさん手に入りましたので、入れ物さえあれば、もっと製造できます」
「必要になるかもしれません。数は多ければ多いほどいい。そちらもよろしくお願いしますよ。できるだけ人を傷つけず、でも驚かせるように」
二階と三階では攻撃に備えた作業でごった返していた。まずは大砲で開けられた穴を塞ぐことが緊急に必要だった。敵は鉄砲隊を有している。弾丸を防ぐ手立てを持たなければ、反撃するまでもなく、簡単に倒されてしまう。
四階で待機していた一般生徒も総動員して、空き教室から机や椅子、ロッカーなどを運び込み、二階と三階の防護壁を再構築した。
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