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8.援軍登場
それから小一時間、十一発の砲弾が撃ち込まれた。校内の士気がいよいよ低下し始めたときだった。
「何か動きがあります」
屋上の宇賀浦が叫んだ。
塞ぎこんだ表情で座り込んでいた先生と生徒が一斉に立ち上がって、窓に群がった。目に飛び込んできたのは意外な光景だった。
「敵が攻撃されています。すごい勢いだ」
学校を攻撃していた部隊の横っ腹に、百人以上の兵が突っ込んでいた。大砲と鉄砲隊を中心に構成されていた部隊は、日本刀を振りかざして突撃してくる一団の登場に、慌てふためき陣形は壊滅的に乱れていた。
「きゃー」
女子生徒が悲鳴を上げた。逃げ惑う兵士の背後から日本刀が振り下ろされ、血しぶきが上がったのだ。殺戮が至る所で繰り返された。先ほどまで学校を攻撃していた部隊の兵士たちが次々と倒されていく。その様は映画やテレビドラマでみる時代劇の立ち回りとは全く異なる残酷さだった。先生と生徒はその様子から目を離すことができなかった。
「マジの戦争だな」
伸二が言った。
「ああ、これは本物だ」
俊彦は蒼ざめた顔つきで答えた。
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