第1章 プロローグ

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  「あっ、キャメロン先生、おはようございます!」  兄と同じ道を歩くと後ろから声をかけられる。振り向くと小学校高学年の少女が5人群れて、テレビタレントを見つけた時のような顔つきになっている。キャメロンとはアメリカのヒーロー映画の主人公のキャラクターの名前だ。  私は内心、喜んでいる。毎日喧嘩を売られているのが実は楽しいのだ。兄は私が小学校低学年の時から、キャアキャア言われていた。素っ気ない態度でかわしていた兄も、 家では解放されたように私にちょっかいを出してくる。私が怒ると兄の蒼汰は嬉しそうな顔になる。
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