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第5章 奇妙な日
「俺はさ……、あの藍色の絵が怪しいと思うんだ……。」
蒼汰がコーヒーカップを両手で包みながら言った。
「ハァ……?絵が怪しいってどういう意味?ホントに頭がおかしくない?」
私のきつい言葉に皆がシンとした。
「まあ、いいよ……。そのうち俺の言いたい事が分かると思う。それまでは頭がおかしいと思っていてくれ。」
蒼汰がボンヤリ言うので、私はいよいよヤバいと思って言った。
「この間見たアガサ・クリスティーの映画の真似をしてるのよ。皆さん、あんまり気にしないで明日の予定を考えましょう。」
濱田先輩も光希もしばしの間蒼汰の顔を見つめていた。
蒼汰はこんな風に時々意味不明の言葉を言う事がある。妹の私は彼の言いたい事は長い時間をかけると後々解明される、というのを知っているのだが、知らない人にはとても奇妙に見えると思う。私は蒼汰に話しかけた。
「ねぇ、明日は皆で出かけるんでしょ?達也さんが行きたい場所を考えておいてほしいって言ったんでしょ?候補の場所は調べた?」
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