第31話 名前を呼んで ※

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第31話 名前を呼んで ※

落ちた目線の先で、綺麗に張られていたはずのシーツがぐしゃぐしゃに皺寄っていた。 それは玩具に翻弄された亜樹が、身悶えて握り締めた跡だった。 どこかボンヤリとその皺を追いかけてしまうのは、一種の現実逃避のようなものだったのかもしれない。 そして亜樹の周りにあるその皺は、和真の元に辿りつくものはなかった。 含まれるビーズが苦しかった。 捲られた縁を弄われる辛さも、内部の痼りから与えられる強すぎる快感も堪えていた。 それでもさらに渡されたステンレス製のブジーに、亜樹の顔がクシャリと歪んだ。 「亜樹、早く入れろ」 俯いたままの亜樹の耳に、和真の冷たい声が聞こえてくる。 名前を呼ぶ冷たいその響きに、亜樹が唇を噛みしめた。
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