5人が本棚に入れています
本棚に追加
搭乗手続きをしているマネージャーの背中を見つめ、俺はここまでの経緯を思い起こす。
彼が持ち込んできたのは、霊能者と一緒に心霊スポットを巡る、というテレビ局のとんでもない企画。
―…………。なんで?
そんなモノは霊能力を売りにしている芸人かアイドルに言うことであって、俳優を目指して地道に頑張っている俺に振るモノじゃないだろう。なぜ俺なのか。
―あれ? 霊感あるって言ってなかった? ああいうのに出るのって、いっつもアイドルか芸人さんでしょ? だから、ヒサシくんが出たら新鮮で面白いんじゃないかと思って
眩暈がした。霊感がある、と確かに言った。だがあれは、鈍感すぎるマネージャーの身体を気遣って言ったことであって、霊能力を売りにしたくて言ったことではない。
―……俺、ただ視えるだけじゃないんだけど。霊を引き寄せるから、とんでもない事件招く体質なんだけど
やんわりと……でも、説明をつけないと通じないので(うちのマネージャーは全てにおいて鈍感なのだ)、それなりの解説付きで、俺は拒否を示した。だが、彼は手を叩いて小躍りした。
―いいじゃない、それ! テレビ的にいい映像が撮れそう!
「はあ…っ…」
最初のコメントを投稿しよう!