沖縄の滞在期間はたった二日

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 製作費を浮かせるためなら、都市部のビジネスホテルでいいと思う。旅番組のロケなら、空港から始まってパワースポットへ向かう…のが道理ではないのだろうか。 「途中のコンビニで、買い出しいいですか? 実は、おばあ一人暮らしなんですよ。料理作るの大変だろうから、何か買って行かないと」  コンビニへ走っていく比嘉くんに、俺は不審の目を向ける。 『どうかしたのかい?』 『ちょっと変な感じがするんです。どうして比嘉くんのご実家に行かなきゃいけないんでしょうか?』 『ん? 宿泊費を浮かせるためじゃないのかね?』 『まともな理屈に聞こえますけどね。冷静に考えてみるとおかしいんです。今の時代、心霊現象のでっち上げなんてパソコンで簡単に行えるんですよ。費用を安く抑えるなら、東京都内のロケ…それも制作スタッフだけで行う撮影で充分なんです』  ディレクターは電話がしたいから、と外へ。千葉ちゃんはトイレ行くついでに比嘉くんの買い物に付き合う、と言ってコンビニへ。スタッフはディレクターとAD比嘉くんとマネージャーの千葉ちゃんだけなので(本格的な撮影は明日だから、本日はカメラマン不在なのだ)、三人いなくなった車内は俺と天使だけになった。人の目がなくなったので、気楽になる。  俺は、ここまでの経緯を改めて天使に伝えた。  千葉ちゃんが悪霊にとり憑かれたことから始まった、オカルト番組のロケかと思いきや旅番組のロケがメイン、という妙な着地点の物語。 『ふむ……千葉ちゃんの悪霊騒動とキミの霊感の暴露、まったく必要ないね』  言われ、俺はがくりと肩を落とす。 『…ですよね。はぁ……自分でもそう思ったけど、他人の口からはっきり言われると凹む……』 『私も、途中から少しおかしい感じはしていたんだ。私に付き合う人間なんて、霊感のある観光客で充分だったのに…』
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