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『この学園は帝国、連合国、王国の三国が手を取り合うためにつくられたものである』
入学式、壇上で柔和そうな初老の男性が話をする。リンクス学園の学園長だ。が、長々とエンドレスに近い形で話をするため、ほとんどの入学生がうんざりしていた。連合国から来た少年、カイ・オーレンもその一人である。カイは入学生の中で最も目立つ姿をしている。背が一つ飛びぬけて高く、体格もかなりがっちりしているのだ。目立たないわけがない。少し掘りの深い顔つきに、流すようにしている茶髪が特徴である。周囲にいるだけで怖い、という印象はないが、近寄りがたい雰囲気は出ている。現に両隣の生徒は委縮していた。
『皆さん、仲良く学園生活を送りましょう』
カイが船をこき始めると同時に、学園長のありがたくもない話が終わる。カイ同様、船を漕いでいた人が一斉にそれに気付き、慌てて姿勢を正す。それと同時に、カイは周囲を見渡し、もともと姿勢を崩していなかった人物が何人いたかを把握する。
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