リンクス学園

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帝国5人、連合国3人、王国4人と。ちなみにカイは連合国の人間である。最も、連合国は小さな国の集まりであり、帰属意識はかなり薄いが。それから別の人が挨拶を始める。カイは暇つぶし、とばかりに船を漕いでいなかった人を観察する。 カイがリンクス学園に来たのは、武術の修行のためである。独特な体術を会得しているカイは、他国の武術を取り入れることでさらなる高みへと昇るためにリンクス学園に入学したのである。先ほど船を漕いでいなかった人の中で、直感的に強者だと思える相手を探したのだ。 結果、帝国に2人、連合国0人、王国3人。もっとも直感で判断しただけだし、船を漕いでいない相手を見ただけなので他にも強者はいるだろうことはわかっている。 それから新入生の数を暇つぶしに数える。そこで違和感を感じた。 人が多い、と。本来、リンクス学園は各国から40人ずつ、計120人の生徒を集める。クラス分けも国ごとに分かれていて、20人ずつの計6クラスになる。同じ学び舎で学んでいても、他国の人と関わることなんてほとんどないという謎の仕組みになっているのだ。学園の創設理念と反しているが、それを指摘する人は誰もいない。 それなのに今回、人が多い。数え間違いかもしれないが、120人いるはずの入学生が、126人いる。そのことにカイは眉を顰める。     
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