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リンクス学園
「皮肉なもんだよな」
4人掛けのボックス席を一人、独占している少年が呟く。それから読み終わった本を閉じ、窓の外を見る。
「20年前、この世界には魔王がいた。その魔王は皮肉にも、“人類の敵”であったわけだ。敵がいたから人類は手を取りあえた。が、“人類の敵”を失った途端、人類はその敵意を自分たちに向けた」
ふう、とあまりにも達観し、極端な見方をした少年は脱力するかのように椅子に寄り掛かる。その際に珍しい青みを帯びた白髪が流れる。
綺麗な少年だ。リンクス学園に通う生徒は10代半ばから20代半ばまで。その例に漏れず、その少年も10代半ばであり、この春からリンクス学園に通うことになった人物の一人である。その容姿は少年らしさがある割に、異様なまでに整っている。女性が嫉妬してしまいそうなほど奇麗なのだ。最も、女装させればわからないか、と聞かれたら否、と答える姿ではあるのだが。それだけ男らしさは溢れている。その上で綺麗、と言わせる容姿をしている。最も、今はさもめんどくさそうに脱力し、目を細めているのでとても綺麗、なんて言える雰囲気ではない。細めた目の奥から鋭く、赤い瞳が覗いていた。
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