プロローグ

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#0-B はじまりのその前に §B0 物語の始まるすこし前に 「起立、礼、解散」  日直の号令。  英語Ⅱの授業が終わった。  私の視線はつい斜め前の席の方に向く。  三崎君は今日も嫌そうな顔でノートを整理していた。  授業が終わったのにご苦労な事だ。  それにしても何故、あんなに嫌そうにノートを整理しているのだろうか。  私は見るたびにそう思う。  印象的すぎて毎回確認する癖がついてしまった。  彼の後ろの席の男子が声をかけた。 「メシどうする三崎、カフェ行くか」 「悪いな。ノートがまとめ終わっていない。終わった後でパンでも食べるよ」  そう行ってノート整理に戻って、また嫌そうな顔をする。  ここは取り敢えず全国レベルの進学校。  だから勉強に対して真面目な人はそれなりに多い。  それでも彼のノートに対する情熱はちょっと異常だ。   情熱というか、見た目はいやいやという感じだけれども。  彼の名前は三崎(みさき)(さとし)。  この1年E組のクラスメイト。  私は彼を入校前から知っていた。  正確には話として聞いていた。  彼の行動のおかしい点はそれだけではない。     
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