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擬似的な五感が感じるのは自分のプライベート部屋フォルダ。
僕のデフォルト位置だ。
流石にここには奴はいない。
僕は移動する。
自分のプライベート部屋からネットワーク上へ。
場所はどこがいいだろう。
相手の手の内で無く、監視も厳しくない場所。
とりあえず近所の公園を散策してみる。
市の市立公園案内の中の一場面だ。
奴は待ち合わせ時間や場所を指定しなかった。
それはいつでも会いに行けるぞという奴の自信の表れ。
少なくとも僕はそう受け取った。
監視プログラムがあるのか特殊な検索機能があるのか。
いずれにせよ、こうやって公開されたオープンな場所に来ていれば、奴は自分からやってくる筈だ。
この場所は人ユーザがあまり多くない
人影アバターは何かを探している風の老人と、僕と同じくらいの女子。
その2人だけだ。
女子が僕の近くへとやってくる。
僕と同じ高校の制服を着ているが知らない顔。
バッチの色からすると同学年の筈なのだけれど。
彼女は僕の方へ歩いてくる。
「こんにちは」
そう言うと共に肩に片紐だけかけて下げていたディパックの中を開く。
金色の仮面が入っているのが見えた。
奴だ。
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