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#1-A 物語の始まり
§A1 VRネットの怪人
怪人。
そうとしか言い様の無い格好だった。
黒いスーツにマント、シルクハット、金色の目と口だけのマスク。
スーツの胸ポケットには赤い薔薇が指してある。
もう外見が明らかに怪しい。
どこの中二病が考えたというスタイルだ。
現実世界なら通報もの。
ここVRネットの世界であっても充分怪しい。
「ようこそ初めまして三崎聡君」
その怪人は初対面のくせに俺の名前を知っていた。
「誰だお前」
典型的な台詞だなと思いつつ、思わず俺は言ってしまう。
多少やばかろうがVRネットの中。
俺にダメージが来る事は無い。
だから多少強気に出ても大丈夫だ。
怪人はわざとらしくマントを振って名乗りをあげる。
「私は花月朗かげろう。漢字説明はFlowerの花、Moonの月、朗は一朗二朗の名前の朗。つくりがおおざとでなく月の方だ。
ネットワークの中に住み、ネットを熟知する存在」
名前説明に妙にこだわっていやがる。
しかも名前まで中二病っぽい。
「なぜその花月朗が俺の名前を知っている」
フフン、という笑いが聞こえたような気がした。
「ネットには無数の情報が散らばっているのだよ。
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