プロローグ

6/26

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/249ページ
§A2 怪人の目的 「それで具体的には何をやらせたいんだ」  話を聞くだけなら只だろう。  いざとなればVRアダプタを外し、キーボードを叩いてセキュリティに連絡をするまでだ。  僕は花月朗の『現実世界に身体を持たない』という台詞を信じていない。  どうせ誰かが操っている分身アバターだろう。  誰かの個人的思惑や、まして利益のために僕が危ない目に遭うのは御免だ。  いざとなれば今のログをそのまま当局に提出するまで。  勿論行動を起こす前にだ。 「その前に、まずは私の行動の証明だな。  明日4月13日金曜日午前6時40分ちょうど、君の自宅を含む約500世帯に1秒程の停電が発生する。それが前兆だ。  その後聡君が動かなければだ。一週間後の4月20日金曜日午後2時、首都圏全体に原因不明の停電が発生。  なかなか復旧できぬまま、大混乱が発生する」  何だと。 「いきなり犯行予告か」 「これは私が仕掛ける物では無い。私はむしろ防ぐ立場だ」  奴は表情がわからない仮面のままそう弁明する。 「状況はわかっているのに止められないのか」 「仕掛けられた場所はクローズドなネットワークだ。私の力が届かない」 「なら警察に通報して」     
/249ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加