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§A2 怪人の目的
「それで具体的には何をやらせたいんだ」
話を聞くだけなら只だろう。
いざとなればVRアダプタを外し、キーボードを叩いてセキュリティに連絡をするまでだ。
僕は花月朗の『現実世界に身体を持たない』という台詞を信じていない。
どうせ誰かが操っている分身アバターだろう。
誰かの個人的思惑や、まして利益のために僕が危ない目に遭うのは御免だ。
いざとなれば今のログをそのまま当局に提出するまで。
勿論行動を起こす前にだ。
「その前に、まずは私の行動の証明だな。
明日4月13日金曜日午前6時40分ちょうど、君の自宅を含む約500世帯に1秒程の停電が発生する。それが前兆だ。
その後聡君が動かなければだ。一週間後の4月20日金曜日午後2時、首都圏全体に原因不明の停電が発生。
なかなか復旧できぬまま、大混乱が発生する」
何だと。
「いきなり犯行予告か」
「これは私が仕掛ける物では無い。私はむしろ防ぐ立場だ」
奴は表情がわからない仮面のままそう弁明する。
「状況はわかっているのに止められないのか」
「仕掛けられた場所はクローズドなネットワークだ。私の力が届かない」
「なら警察に通報して」
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