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「証拠も何も無いのに警察が動けるかな」
なるほど。
筋は一応通っている。
それでもしつこく聞いてみる。
「明日の停電は防がないでいいのか」
「防ぐ時間が足りない。それにその程度の時間の停電、企業だの重要機関だのは対策済みだし問題無いだろう。そもそも停電対象はほとんど一般家庭だ。ニートが運用しているデスクトップパソコンが電源断になるかもしれない程度だな」
「つまりは大した被害は出ないと」
「事件発生を防いだ結果、その後計画されている大規模停電を阻止出来なくなる。その方が損害が大きいと判断した」
なるほど、言っている事はもっともだ。
でもまだ信じるには早すぎる。
まずはこっちも下調べをしてからだ。
幸い言い訳はこいつ自身が提示している。
「なら次の話は明日の停電を確認してからだな。それで後の大規模停電は防ぐ事は可能か?」
花月朗は頷いた。
「可能だ。聡君に土日に動いてもらう必要が出来るがな」
それならば、だ。
「ならこの話は実際に停電が起きたのを確かめてからだ。それでいいな」
「ああ、当然の判断だろう」
花月朗はそう言うと、すっとマントを右手で掴む。
「では、取り敢えずの間さらばだ、聡君。次に会える時を楽しみにしているよ」
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