プロローグ

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 台詞が終わるのと同時に、掴んだマントで自身の顔と上半身を覆い隠す。  そして黒い影が一瞬小さくなったように見えた後。  姿が消えた。  完全に彼の気配が消えたことを確認して、僕は操作を開始する。  20分前から現在までの通信記録ログを全て保存。  奴の正体を確認する為だ。  いざという時の証拠にもなる。  ネット上の自分のプライベート部屋フォルダに移動。  念の為更にさっき取得したログのコピーを作成。  それからログの中身を確認。  そして僕は愕然とした。  あの花月朗と名乗った怪人の記録。  それが全くログに残っていやしない。  僕がVR空間の馬久協和総合病院前の公園に無言で佇んでいる。  記録はそれだけだ。  あの怪人、少なくとも並の使用者(ユーザ)ではない。  それだけは事実として確認出来た。
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