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そして、始まる終わり
ユノが力尽きた。ジョナサンはユノを抱き抱えた。
メイドの死体はなかった。逃げたか。
「なんか、唐突だったな。だが、よくやったユノ」
ユノは疲れ切って、幸せそうな顔で気絶していた。
村人達も、揃って疲れた顔をして座り込み、誰一人としてユノに駆け寄らなかった。
サクヤが、こちらに近づいた。
「ユノが気を失っている間に別れを済まそうと思ったけれど、行きそびれてしまったわ」
サクヤが、ゆっくりと横たわった。
「ばあちゃん!」
異口同音に村人が叫んだ。
「終の吐息の反動よ。暫くは動けないの。でもユノ、貴女は本当にいい男を見つけたわね。貴方、イーサンにそっくりよ。最後に役に立たなかったところも」
サクヤに、ゆっくりと近づく者がいた。
「相変わらずね。ルルド」
校長。ジョナサンは呟いた。三百年の時を経た再会に、水を差せなかった。
「そう。ユノは見つけたのよ。彼を。ただ一人のパートナーを。奥さんがいるけど」
「ああそうだった。けれど、関係ないとも言える。私達の失敗を贖う、唯一で最後の希望。ルルド、貴女彼にちょっかい出してないでしょうね?」
「ええ。まごまごしている内に童貞を奪ってやろうと思っていたけど。休みなさい。貴女、年寄りの冷や水よ」
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