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サクヤは、満足そうに眠りについた。
「校長。何でここに?」
「ユノが入学前にちょっとね。転移魔法で飛んできたわ」
「だったら1発じゃねえか!魔王の頑張りはどこに?!」
「それどころじゃないの。王宮が大変なの。マリルカを助けに行って。それに、連合の幹部が相次いで殺されているの。恐らく、最後の攻勢が始まりそう」
「その通り」
聞いたことのない声だった。次いで、ユノの姿が消えた。
「ユノ!おい!」
「安心なさい。あの子は、最後の戦いに備えているだけ。直ぐに会えるわ。貴方にその資格があるのなら」
そう告げたのは、透けた法衣を纏う若い女だった。宝石を散りばめた錫杖が光っていた。
「あ。スクリュードライバー?」
「セント・トーマス以来ですね?勇者エルネスト」
前に、ノンアルのスクリュードライバーを振る舞ったことがある、12歳くらいの娘がそこにいた。
「ソルスの乙女ね。神の化身。今は聖女かしら?」
聖女。聖都において、法主と別系統で頂点に立つ存在。謎の宗教団体枢密院の審神者の上に立つのが、この子か。
神聖教団同様、コングロマリットとズブズブだったので相手にしていなかった。
「聖都は今危機的状況です。法主が生きたまま焼かれて死にました。さあ、貴方はどちらを救う?王宮か聖都か」
突然告げられた二択に、ジョナサンは、ただ、戸惑うばかりだった。
失われたユノか、王宮のマリルカか。一度進んだら戻ることのできない岐路に、ジョナサンは立たされているのだった。
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